完全失業率が平均して5%を越え(※平成22年3月分)倒産や業務縮小も続き、就職活動を行う人々にとって厳しい時代が訪れました。
公共職業安定所(以下、ハローワーク)には連日多くの人が通ってきています。
ハローワークとは、国民に安定した雇用機会を確保することを目的として設置された行政機関です。
求職申込みと人材の紹介・雇用保険の各手続き・助成金や給付金の支給・公共職業訓練・労働保険手続きについて取り扱っています。
利用するにあたりメリット・デメリットがいくつか有りますが、お役所という存在柄かあまり問題点をニュースに取り上げられることはありません。
そのため、どう利用していいか分からず、とりあえず窓口に行き、窓口での説明を受けるままに利用している人が殆どだと思います。
先日、某SNS内にて掲載されていた関連記事を参考に、ハローワークの抱える問題点と活用法を紹介していきます。
(※プライバシーの問題により元記事へのリンクは割愛します)
◆ハローワークの問題について
職業案内に限定すると、ハローワークは全く使えません。
問題点は以下の3点です。
- 職員の削減により、知識と経験のある質の良い正規職員が減少している。
- 実際には求人を行っていないダミー求人が多い。
- 職業紹介機能しか備わっておらず、適職紹介(マッチング)が出来ていない。
1.職員の質の問題
ハローワークに勤めている職員の多くは非正規職員、つまりアルバイトです。
職員の多くが、主婦や安い時給で働かされており、窓口案内と一緒に未だに書類手続きが中心のアナログで手際の悪い作業を強いられています。
連日鳴り響く電話、○ひとつ間違えると処理ができない、大量の手書きの書類処理、窓口に来るのは暗い表情をした失業者ばかり。
これでストレスがたまらない方がおかしいですよね。
猫の手も借りたい程に忙しい状況であるにも関わらず、年々ハローワークの職員は減らされているそうです。特に、知識のある正規職員はどんどん減らされており、残された非正規職員に負担が増えてしまっています。顧客(仕事)が増えてるのに、それに対応するスタッフが減っている。普通に考えても異常だということがよくわかります。
2.ダミー求人問題
ハローワークの求人は、労災保険・雇用保険へ加入していることが条件という僅かなコストで求人を出すことができます。
そのため、求人広告費が作れない中小企業が中心となり、求人の質も自然に下がってしまいます。
情報収集目的・紹介予定のない派遣登録者の水増し目的・助成金絡みの形式的なものなど、実際は仕事に結びつかないものにも関わらず求人を出している会社が、実に全体の3〜4割もあるといわれています。
また、社会保険とは連動していないので、健康保険、厚生年金未加入でも求人票を出すことが出来ます。そのため、就職したものの、厚生保険や健康保険を受けられないという事態も発生しています。
先に書いた通り、職員もかなり適当なので、ダミーに引っかかっても「自己責任」で片付けられることが多いため注意が必要です。特に派遣登録の場合、人材登録したものの望んだ仕事に有りつけないという話がよく聞かれます。
もっとも、あまりにも事実と違う内容の求人であれば、ハローワークから求人企業に対して指導が入ることがあります。指導を無視して求人を続けた場合は、求人票を取り下げられることもありますので、もし引っかかってしまった場合は窓口に相談してみてください。
3.マッチング問題
よく、「職が続かないのは本人が悪い」という声を聞きます。
確かにある程度は働くことに対してのやる気と責任がなくては仕事は続けれません。働くということは好きなことしていればいいというものではありませんし、飽きたら辞めるというアルバイトさんも実際にいるそうです。
ですが逆にいってしまえばその人にとって適切な職でなければ続けられないのです。ちなみに好きなこと=適職というわけでもありません。そのため、本人が何を得意としているのか自覚出来ていないまま求職活動を続けているという事態も良く起こっています。
職業センターでは、必ずキャリア・カウンセリング(Career Counseling)を行い、個人の能力と適性を調べて適切な職を紹介していきます。
これは1900年前後のアメリカ産業革命期頃にフランク・パーソンズ(Parson,F.)がボストンにて行った「職業指導運動」という活動に端を発したもので、心理測定で各個人の特性を明らかにし,職業分析で各職種が必要とする特性を明らかにし,そして各個人が自分の特性に適した職を選ぶという図式です。
簡単に言えば、自分が何を得意としどんな職につけば良いのかをアドバイスしてくれるというものです。
一応、ハローワークもそういった職業相談の窓口は開かれていますが、まともに機能していないため「どんな職であろうと端末で探し出してきた求人票を何でも紹介」してしまっています。
そのため、1つの求人に午前中だけで150人(※実際にある数字です)が殺到するという、とんでもない事態が発生してしまうのです。
◆ハローワークの利点
そんなハローワークですが、もちろん利点もあります。
雑誌に掲載されているような普通の求人にはない、障害者雇用や就職が困難な中高年…いわゆる社会的弱者の救済を行っていることです。
フリーで配布されている求人雑誌などは未経験者募集といっても、50代・60代といった中高齢者、身体(知的)障害者、刑務所を出所した者等の社会的弱者は書類審査の段階で弾かれてしまい、なかなか採用されることは難しくなります。
ですが、ハローワークに寄せられる求人には、要求される技術やスキルの低いものが比較的多く、誰でも雇用の機会を得ることが出来ます。
「誰でも求人に応募が出来る」これは意外と民間では実践出来るものではありません。
行政機関だから出来ることだと言えるでしょう。
◆ハローワークで就職活動する方法
1.インターネット検索を活用する
最近は直接ハローワークに行かなくても、家やネットカフェなどで
ハローワークインターネットサービスを使って簡単に求人を検索出来るようになりました。
しかも、案内所の端末よりインターネットでの検索の方が(公開情報が制限されているものの)探しやすいため、非常に便利になっています。
また、ホームページを持っている会社も最近は増えてきましたので、ついでに社名で検索をかけて、どういう事業をしているのかのチェックも行うことが出来るのがインターネットの利点ですね。
まずはインターネット検索で気になる求人を探します。
検索の結果で表示される整理番号(※12345 - 67890 といった番号)をメモ帳などに控えておきます。この番号はハローワークでの求人番号になりますので、ハローワークにある端末で出力したり、窓口などでの相談で使用します。
なお、検索結果の読み方については
検索結果の見方を参考にしてください。
この段階で「ダミーかな?」と思ったものは候補から外していきます。
どういうのがダミーなのかは以下のURLあたりを参考にしてみるとよいかもしれません。
http://www.geocities.jp/spoichi/050725black.html
2.時間をうまく使ってハローワークへ
興味のある求人候補を見つけたら、比較的空いている時間帯を選んでハローワークに向かいます。
ハローワークが混むのは「午前中・月曜日・晴れの日・祝日あけ」。
やはり外出したくなる気分の時はハローワークに訪れる人も多いようです。
時間を選ぶといっても、求人の中には午前中で締めきってしまうものもありますので、その辺りはスケジュールと相談です。
なお、地域によっては求人窓口の予約サービスを行っているところもありますので、一度お近くのハローワークに問い合わせてみるといいかもしれません。
3.相談は正規職員に。
求人票を出して職員に相談する際も、出来れば正規職員さんに対応してもらうよう掛けあってください。明らかに非正規職員である年配の方や説教臭い職員は基本的に相手にしなくていいです。
一度だけ自分もハローワークを利用してみたことがありますが、アニメーターに風呂屋のチラシ制作をすすめてきました。いやまて、確かに「グラフィック」の仕事だが、全然畑が違う。
相談する際、使える助成は徹底的に使います。きちんとした人ならば何が使えるかもちゃんと教えてくれます。
トライアル雇用(試用期間を設けての雇用)・
障害者雇用対策等、大いに活用してください。
◆上手な活用法
現在はインターネットを利用出来る環境が整い、就職活動もインターネットが中心になってきています。
また、ハローワークとは別に、民間や地方団体で専門家による労働相談、マッチングを行っている場所もあります。
ハローワークは助成手続きと求人票を提出する場所と思い、適切な職の相談や上手く活動する方法などは民間サービスを大いに活用してください。
就職活動は「自分をいかにアピールしていくか」という情報戦です。
時が止まってしまっているハローワークは、常に変動する戦場において良い導き手には成り得ません。
良い導き手のもと、自分が何をしたいのかを見つけ出し、戦いに挑んでいってください。